2023/04/24
88. 新約聖書の内にある新約聖書
その2
前回、その1では、黙示録の1章から10章までの流れを整理した。今回は続く11章から12章をまとめる。著者は天の声に従って、すでに預言し終わっている使徒言行録とパウロの書簡について再び預言した(本ブログ№17参照)。ここにおいて、初めに「イエス・キリストの黙示」(黙示録1:1)と書かれたヨハネの黙示と、天の玉座の「中央とその周りにいた」(黙示録4:6)四つの生き物として描かれた福音書が、ともに啓示の書として天に置かれていたように、これらの書も啓示の書として天に上げられたことが証しされた。これで、黙示録の中でその存在が預言された公同書簡を含む(本ブログ№87参照)、新約聖書のすべての書が天に上げられ、イエス・キリストの啓示の預言が確定した。後世に、この預言通りに、これらの書が新約聖書の正典として成立したことで、イエス・キリストの啓示は、この新約聖書の内に完結した。
ゆえに、「天にある神の神殿が開かれ、その神殿の中に契約の箱が見えた」(黙示録11:19)とある契約の箱の中身は、新しい契約である。ここから、次に、「太陽を身にまとい、月を足の下にし、頭には十二の星の冠をかぶっていた」(黙示録12:1)女の姿で天に現れたしるしは、イエスが最期の食卓で制定したキリストの体と新しい契約の血とともに発出した司祭職である。それは、ヨハネ福音書で使徒がイエスの母を引き取った記述に由来する(本ブログ№18参照)。そこで、他方でこの女は、「産みの痛みと苦しみのために叫んでいた」(黙示録12:2)とも書かれている。地上では、聖霊によってパンと葡萄酒がキリストの体と血となるみ言葉を身ごもった司祭職がこの女の姿だからだ。この姿は、迫害のさ中で、イエスの命じた通りに、最期の食卓の出来事を「記念として」(ルカ22:19)行っている使徒たちとその後継者の上に映し出される。
次に、天に巨大な赤い竜のしるしが現れる。このしるしは、古い契約とも言うべき世界観に留まろうとする人々の関係からくる情報が、知識となって君臨している姿を表している。それは、アダムとエバの関係から生じ、以来世界を覆っている知識である。王冠をかぶった頭と角が、その知識の巨大さを物語っている(本ブログ№42~45参照)。キリストの血によってなされた救いの契約を継続し、人々の間に住む神の現存を可視化する聖体の“神の知識”を、古い“人の知識”が食い尽くそうとしている。使徒は聖霊によって聖体を生んだ。新約聖書の中に秘められている聖体の知識は啓示であることから、天の玉座に上げられた。一方、聖体を生む新しい民の司祭職の知識は、使徒たちの無意識の領域に隠され(本ブログ№21参照)、ここで養われ成熟する。
これらのことによって、イエスを知る人々の内奥で戦いが起こる。新しい契約の世界観、すなわちイエス・キリストの世界観によって、古い契約の世界観が識別されるようになったのだ。それは、創世記で人々の記憶に「神が置いた敵意」(本ブログ№23参照)が、人がイエス・キリストの世界観を持つことで、その効力を十全に発揮するようになるからだ(本ブログ№22参照)。
Maria K. M.