2022/04/11

34．新しい男と新しい女の召命

創造主は、初めから人を男と女とに造る段取りを持っていた。人は、人や他の動物たちが生まれてくるのを目の当たりにすることによって、生き物に自発性があることを知る。この自発性が、人に、「ある」ものを感じさせ、人はそれを「存在」だと受け取るようになった。やがて人は、これが人の脳の中で起こる出来事であり、「ある」と捉えられるのは自身のみで、他はすべて自身との関係を表す情報として存在していることを知る。だから、人をこのように創造した神が、「私はある」と言うとき、それは、神が人と共にいて関係していることを言っているのだ^１。人にとって関係性を示す情報こそが、他者の「存在」を保証する手立てだ。聖書は、神が人を神の似姿に創造したと書いた。この命題が人にとって自他ともにその「存在」を保証する情報であるためには、関係性を示す情報にならなければならない。そこで神はその独り子を世に遣わした。キリスト者にとって完全な神の似姿は、イエスだ。したがって神に似るということは、イエスに似るということだ。キリスト者がイエスに似るために共有可能なイエスの具体的な特徴は、２つある。イエスは、「天の国のために自ら進んで宦官となった者」になることを、弟子たちに勧めた^２。それはイエスご自身のことであった。イエスの具体的な特徴の一つは、去勢なしの宦官となったことだ。イエスが「受け入れることのできる人は受け入れなさい」と言い添えたのは、ペトロやヨハネのように、社会的立場が異なる者たちが、この勧めを時宜にかなって自由に受け入れることができるためだ。もう一つの特徴は、イエスが男性として誕生し、み言葉である神として母性を持っていたことだ^３。そこで、イエスが人としての男性性と神としての女性性を併せ持っていたことに留意しなければならない。キリスト者がイエスに似るためには、自身の男性性と女性性についての新たな可能性を受け取る必要がある。ここで、十字架のそばに御父が引き寄せた人々が三人のマリアであったことが重要になる。キリスト者の男性は、子を持つ者も持たない者も、「愛する弟子」に倣ってマリアの名を受け取り、イエスに似る者となる。キリスト者の女性は、子を持つ者はクロパの妻マリアによってヨセフの名を、子を持たない者はマグダラのマリアによってイエスの名を受け取り、それぞれイエスに似る者となる。十字架のそばにいた三人のマリアは、聖家族のメンバーを象徴していたのだ^４。こうして、イエスの「私の教会」が聖家族をモデルにイエスの似姿として現れるなら、聖書の世界が現実のものになる。

【参考】1. 本ブログ№25、2. 本ブログ№29,33、3. 本ブログ№29、4. 本ブログ№30,31

Maria K. M.