イエス・キリストの黙示。この黙示は、すぐにも起こるはずのことを、神がその僕たちに示すためキリストに与え、それをキリストが天使を送って僕ヨハネに知らせたものである。ヨハネは、神の言葉とイエス・キリストの証し、すなわち、自分が見たすべてを証しした。この預言の言葉を朗読する者と、これを聞いて中に記されたことを守る者たちは、幸いだ。時が迫っているからである。(ヨハネの黙示1,1~3)

 2023/02/27

樹齢1500年の桜(日本)

80. 日本化 その1

イエスは、昇天の直前まで、弟子たちの問いに答えながら、天の父の名を繰り返した(使徒言行録1:4~7参照)。このイエスの声を聞いた使徒たちや、「自分の持ち物を出し合って、一行に仕えていた」(ルカ8:3)女性の弟子たちにとって、神と教会が親子の関係で、キリストにとって教会が「兄弟、姉妹、また母」(マタイ1250であることは、周知のことであった。しかし、迫害が激しくなり、イエスを直接知る人々がいなくなると、教会はイスラエルの民の祝婚歌の伝統を受け継いだ。 

イエスの昇天の場面は、聖書の中で3回ある昇天の記述の最後のものだ。初めは、創世記でヤコブに神が「イスラエルがあなたの名となる」(創世記35:10)と言った後、「神はヤコブと語られたその場所で、彼を離れて昇って行かれた」(創世記35:13)とある。次は、預言者エリヤがエリシャの望みに答えた後、「彼らが話しながら歩き続けていると、火の戦車と火の馬が二人の間を隔て、エリヤはつむじ風の中を天に上って行った」(列王記下2:11)と記載された場面である。これら3つの昇天には、互いをつなぐストーリーがある。 

ヤコブは「あなたから王たちが出る」(創世記35:11)と神から告げられていた。この王たちの中にソロモンがいて、神は彼と親子の絆を結ぼうとしていたが、彼の誤った婚姻関係が悪と見なされ実現しなかった。その後、北イスラエルの王となったアハブも、シドン人の王エトバアルの娘イゼベルをめとり、この誤った婚姻関係から、進んでバアルに仕え、これにひれ伏した。神は預言者エリヤに命じ、彼はイゼベルの預言者たちと競った。そこで、エリヤが「主がかつて、『あなたの名はイスラエルとなる』と告げられたヤコブの子らの部族の数に従って、十二の石を取り、それらの石を用いて、主の名によって祭壇を築き」(列王記上18:31~32)と書かれ、上記の、神とヤコブの出来事が回想されている。 

真の王として、神と人が親子になるという神の望みを実現したイエスは、神を父と呼んで昇天した。こうして旧い契約の物語は、神と教会が親子の関係で、キリストにとって教会は兄弟姉妹、また母であることを、はっきりと伝えたイエスに向かっている。 

しかし、教会は、イスラエルの民の祝婚歌の伝統から、オリゲネスが始めた婚姻の神学を紡ぎ続け、二十世紀の神学に発想を与えた。その発想は、第二バチカン公会議に影響を与え、取り入れられた。教会はこの古い木に数々の添え木をして、まるで、樹齢1500年の巨木が花を咲かせるように着飾らせた。キリスト教辺境の地であり、独立した固有の文明として分類されている日本(本ブログ№1参照)に住む者にとって、60年も前の当時の事情は、学習して知る以外にない。カトリック教会は、教会内における近代主義受容の動きに真剣に向き合わず、まともな議論もないままにいわば門前払いして抑圧したと聞いている。その実、時代を制御できないという危機感から、第二バチカン公会議で、伝統的な婚姻神秘主義に飛び乗ったということはなかったのだろうか。

Maria K. M.


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