イエス・キリストの黙示。この黙示は、すぐにも起こるはずのことを、神がその僕たちに示すためキリストに与え、それをキリストが天使を送って僕ヨハネに知らせたものである。ヨハネは、神の言葉とイエス・キリストの証し、すなわち、自分が見たすべてを証しした。この預言の言葉を朗読する者と、これを聞いて中に記されたことを守る者たちは、幸いだ。時が迫っているからである。(ヨハネの黙示1,1~3)

 2022/03/28

32. ペトロの「幸い」

前回書いたように、イエスの問いとペトロの答えは、イエスが「あなたは幸いだ」と言った「幸い」によって、ヨハネの黙示とリンクして新しい空間と結ばれる。ヨハネの黙示録の中には7つの「幸い」があり、その内の6つは幸いであることの理由が書かれている。しかし、4つ目の「幸い」だけが次のように理由が示されていない。「それから、天使は私に、『書き記せ。小羊の婚礼の祝宴に招かれている者は幸いだ』と言い、また、『これらは、神の真実の言葉である。』とも言った」(黙示録19:9)。小羊の婚礼の祝宴は、イエスの最期の過ぎ越しの夕食である。その席で使徒たちは、イエスの言葉によってパンと葡萄酒がキリストの聖体となったものを食べて飲み、それによってイエスとの合一体験を持った。今日でもミサの流れは、使徒たちと同じ合一体験をさせる聖体拝領に向かう。ミサの終盤で、司祭は聖別されたパンと葡萄酒を示して、信者たちをご聖体との合一に招き、「神の小羊の食卓に招かれた者は幸い」と唱える。ここで、ご聖体に現存するイエスを前にした信者は、「あなたがたは私を何者だと言うのか」(マタイ16:15)というイエスの問いを前にしたペトロのように、ご聖体が誰であるかを証しする場面に直面する。「あなたはメシア、生ける神の子です」(マタイ16:16)と応えたペトロに、イエスは、「バルヨナ・シモン、あなたは幸いだ。あなたにこのことを現したのは、人間ではなく、天におられる私の父である」(マタイ16:17)と応じた。ペトロの答えは、天の父が保証した「幸い」であり、これは、「神の真実の言葉」である。ゆえに、ご聖体を前にした信者は、ペトロの幸いな信仰告白で証しする。さらにイエスは、続けて次のように言った。「私はあなたに天の国の鍵を授ける。あなたが地上で結ぶことは、天でも結ばれ、地上で解くことは、天でも解かれる」(マタイ16:19)。天の国の鍵が、ミサ開祭の言葉によって天の扉を開くと、天上のミサと地上のミサを結ぶ新しい空間が出現する。そこで、第5の「幸い」は、第一の復活に与かる者の幸いを説く。「彼らは神とキリストの祭司となって、キリストと共に千年の間支配する」(黙示録20:6)。「千年の間」とは、天の国の永遠とつながった地上のミサの時間である。大群衆が神を讃える天上のミサと結ばれた地上のミサに与る会衆は、天上の祭司と地上の司祭から派遣の祝福を受ける。聖霊によって、いわば第2の受肉の神秘を成し遂げた地上の司祭たちは、キリストの聖体を拝領して派遣される信者が、第3の受肉の神秘を成し遂げ、再びミサに戻ってくる希望を持って送りだすのである。そして、閉祭を告げる司祭の言葉と感謝の応答をもって、天上のミサとの結びは解かれる。

【参考】1. 黙示録 ①1:3②14:13③16:15④19:9⑤20:6⑥22:7⑦22:142. 黙示録3:20 

Maria K. M.  




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