2021/12/20
18. もはや時がない
雲を身にまとい天から降って来た力強い天使の声が言った。「もはや時がない。第七の天使がラッパを吹き鳴らすとき、神の秘義が成就する」(黙示録10:6~7)。第七の天使がラッパを吹き鳴らすと、天でも地でも特別なイベントが起こった(11:15~19)。ヨハネの黙示の中で、それまでにも2度イベントがあり、これら3つのイベントには、それぞれにキーワードがある。1度目は、玉座と神の7つの霊(4:2~11)、2度目は、天使、香炉、祭壇(8:1~5)、そして3度目が、神の神殿と契約の箱(11:15~19)である。これらの言葉と「神の秘義が成就する」という言葉から、イベントはミサが始まる予兆だと言える。「もはや時がない」とは、キリストの聖体が生まれることを指していたのだ。そこで、天に大きなしるしが現れた(12:1)。このしるしは一人の女の姿で描写されているが、実は聖霊と司祭がミサの中でキリストの聖体が生まれるために協働する姿である。聖霊は、イエスが御父のもとから遣わす弁護者、すなわち、御父のもとから出る真理の霊である1。イエスは受難に向かう前に、聖霊の助け手として自ら選んだ使徒たちに、イエスの母の権威をすべて引き継がせた。イエスの母の権威とは、第1に聖霊によってイエスを身ごもり母となったことである。そこでイエスは聖体を制定し、使徒たちの記憶に、パンと葡萄酒がキリストの体と血になるみ言葉を入れた。使徒は、ミサの度ごとにこの言葉が実現するように御父に願う仕方で、このみ言葉を生み出す母の役割を果たす。第2にイエスに関するすべてを知っていることで、使徒たちは聖霊によってイエスに関するすべてを悟る恵みを与えられた2。第3に母の願いによってイエスが水を葡萄酒に変えたように3、使徒たちもイエスの名によって御父になんでも願うようになることである4。格別にパンと葡萄酒がキリストの御体と御血になるときはそうだ。最後にイエスは、十字架上で、ご自分の母とイエスの愛する弟子である使徒を親子の絆で結んだ。使徒はその時からイエスの母を自分の家に引き取った5。これによって使徒は、イエスの母の権威の正当な相続者となったのである。
【参考】1.ヨハネ15:26、2.ヨハネ14:26,16:13、3.ヨハネ2:1~11、4.ヨハネ16:23、5.ヨハネ19:26~27