2021/12/06
16. 第七の封印
第7の封印はヨハネの黙示である。この黙示は、冒頭で「この預言の言葉を朗読する者と、これを聞いて中に記されたことを守る者たちは、幸いだ」という言葉によって、人々をヨハネの黙示の訓練に招く。黙示録の訓練が臨場感を伴って行われるために、また、時代を超えて有効であるために、諸教会への手紙という形式を取った(黙示録1:1~20)。そして実際に7つの手紙が書かれた(2:1~3:22)。訓練者はこれらの手紙の内容に自分自身や自分が属する共同体の問題を重ね見て共感し、少なからず反省する気持ちを持つ。各手紙の終わりに必ず繰り返される「耳のある者は、霊が諸教会に告げることを聞くがよい」という言葉に、知らず知らずのうちに心の準備をしている。訓練者は、その後すぐ描写される玉座と神の7つの霊、4つの生き物に聖書的なイメージを感じ取り、「耳のある者」として聞こうとする。こうして朗読して聞く訓練を続けていくと、新約聖書のイメージが記憶の無意識の領域に注入される(4:1~11)。さらにそのイメージが「封印を解く」という緊張感あふれる言葉で暗示されることによって (5:1~7:17)、無意識の中にも臨場感が高まっていく。ヨハネの黙示である第7の封印が解かれると、7人の天使が持つラッパの響きによって、新約聖書の7つの書の効能が伝えられる。ラッパの響きというさらなる緊張感を持って繰り返されることで、そのイメージを訓練者の記憶に定着させる(8:1~9:21)。著者は、空高く飛び大声で「災いあれ」と言う一羽の鷲に自身の姿を重ねる(8:13)。これは4つ目のラッパの響きがヨハネ福音書であることを指すと同時に、先の3つのラッパの響きは共観福音書であったことを示している。この後に続く2つのラッパの響きは、それぞれの描写を手掛かりに、該当する書物を特定することができる1。また、「7つの雷」によって表現された公同書簡についても言及され2、ここに新約聖書の全貌が預言されたと言える。天から降って来た天使の手にあった「開かれた小さな巻物」は新約聖書である。著者がこれをすべて食べ「腹には苦いが、口には蜜のように甘い」と言った天使の言葉を悟ったように(10:5~11)、訓練者もやがてその意味を悟るようになる。
【参考】1. 第5のラッパの響き(9:6)は、第5の封印を解いたとき、神の言葉と自分たちが立てた証しのゆえに殺された人々の描写(6:9~10)と、逆説的な意味で符合する。天使が第6のラッパを吹いたとき、神の前にある金の祭壇の四本の角から聞こえた命令(9:14~15)は、第6の封印を解いたときの描写(7:1~3)と符合する。2. 本ブログ№12
Maria K. M.
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