2022/07/11
47. ヨハネの黙示の構成
マタイ福音書は、イエスがヘロデ王の時代にユダヤのベツレヘムで生まれたとき、東方から博士たちが来訪したことを記載した。博士たちはヘロデに、「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。私たちは東方でその方の星を見たので、拝みに来たのです」(マタイ2:2)と尋ねた。博士たちの訪問の理由に不安を抱いたヘロデは、自ら招集した祭司長たちや民の律法学者たちが引用した「一人の指導者が現れ、私の民イスラエルの牧者となるからである」(マタイ2:6)という預言者の言葉と、博士たちの言葉との微妙な差異に気付かなかった。そこで、「ヘロデは博士たちをひそかに呼び寄せ、星の現れた時期を確かめた。そして、こう言ってベツレヘムへ送り出した。『行って、その子のことを詳しく調べ、見つかったら知らせてくれ。私も行って拝むから。』」(マタイ2:7~8)。しかし彼らは夢でお告げを受けたのでヘロデのところに戻らず、自分たちの国に帰って行った。ヘロデは、博士たちにだまされたと知って、激しく怒った。疑心暗鬼になったヘロデは、「人を送り、博士たちから確かめておいた時期に基づいて、ベツレヘムとその周辺一帯にいる二歳以下の男の子を、一人残らず殺した」(マタイ2:16)。ここでは、ヘロデ王、東方の博士たち、イエスの両親という登場人物が、それぞれの行動原理をもっていることが示されている。ヘロデは、皇帝とつながり、竜の情報を取り込んだ獣となっていた(本ブログ№44、№45、№46参照)。他方、新しく生まれたユダヤの王の星を見たので拝みに来て、夢でお告げがあったので帰って行った博士たちは、真理の探究に基づく世界観を持っていた。また、主の天使が夢で現れ、その言葉に従って夜のうちにエジプトへ退き、ヘロデが死ぬまでそこにいたイエスの両親は、福音書が次のように記載したとおり、預言の言葉に基づく世界観を持っていた。「それは、『私は、エジプトから私の子を呼び出した』と、主が預言者を通して言われたことが実現するためであった」(マタイ2:15)。博士たちと両親は、それぞれが受け取ったしるしや言葉が、彼らの世界観から引き出された事柄そのものだったために、これらを信じ、確信をもってそれぞれの行為にした。しかし、その後この両親は、イエスが成長すると、「イエスの言葉の意味が分からなかった」(ルカ2:50)という場面に遭遇する。それは、まだ彼らがイエス・キリストの世界観を持っていなかったからだ。イエスは成人し、自らの世界観を弟子たちに注入した。そして、聖霊が降臨し、「イエスの言葉の意味」を知らせた。ヨハネの黙示は、前半で、新約聖書成立を預言して、訓練者にイエス・キリストの世界観を注入し、後半に入ると、「幸い」が次々に現れ、訓練者に同伴して聖霊の養成に向かわせる。この構成は、福音書の流れを反映していると言える。
Maria K.
M.
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